肉離れのことを知る前に、「運動器」という言葉を確認したいと思います。
まず、運動器とは、動物の器官の分類の一つで、
身体を構成し、支え、身体運動を可能にする器官のことを指します。
身体活動を行なう器官を総称です。
脊椎動物では、身体の支柱である全身の骨格と関節(骨格系)と、
それらに結合する骨格筋、腱および靭帯が運動器に所属します。
というと、難しく聞こえますが、
運動器は簡単に言うと筋肉や骨、腱や靭帯です。
その運動器が、何らかの原因によって障害を負った状態のことを
運動器障害と言います。
スポーツに怪我は付き物ですが、
日常の生活の中でも起こりうる筋肉の障害の対処法についてご紹介します。
長期に渡り元気に楽しく運動をするためには、
運動器の障害が発生した際にすぐに対処し障害の程度を軽減することが
重要になっていきます。
運動器障害を負うことでスポーツ活動だけでなく日常生活での諸活動にも影響が出てきます。
自身の為だけではなく、身の周りの人が運動器障害を起こした際の対処法として
知識を備えておくと、いざという時に使えます。
肉離れについて
筋肉に起こる急性の怪我として発生するものに
筋繊維が切れることで起こる「肉離れ」があります。
これは、よく耳にする障害だと思います。
肉離れが最もよく発生するのは、太ももの裏側にあるハムストリングスです。
「ハムが攣った・・・。」
で済めばよいです。
この、「攣った。」という状態を、肉離れが起きるサインと考えても良いかも知れません。
攣る症状が治まったので大丈夫かと思って、同じように運動を再開すると、
通常より筋繊維の損傷が起きやすいです。
軽度の肉離れと捉えて、運動を控える。またはメニューを変えた練習にすることがベストです。
また、少し時間が経った状況で腿全体にあざが出てきた場合は肉離れしている可能性が高いです。
後は、肉離れはハムストリングスだけでなく、太ももの表側にある大腿四頭筋や
ふくらはぎの筋肉にも比較的多く起こります。
下半身の運動器障害としては、本当に多い怪我ですね。
若い選手は良いですが、ベテラン選手にとって肉離れは致命的です。
私の所属する野球チームでも、肉離れを繰り返し、走ることができなくなってしまい、
最終的に現役引退をした選手もいます。
肉離れの原因について
肉離れは外部からの力を受けて起こるのではなく、
自身の動作や筋力によって筋繊維が切れて起こる障害です。
また、肉離れを起こすときに発揮されている力は、
筋肉が縮もうとするときに発生する力ではなく、
伸ばされながら発生する力であることがほとんどです。
筋力トレーニングしている方は知っていると思いますが、
上記を言い換えると、
コンセントリックよりもエキセントリックな負荷が肉離れしやすいということになります。
でも、エキセントリックの動作の時のほうが筋肉に刺激が強く入り、
筋肥大しやすいのでキツイですけど私は好きです。
翌日の筋肉痛が半端ないですが・・・。
何故、筋繊維が切れてしまうかというと
急激に引っ張られてしまった場合に起こりやすくなります。
また、怪我を負う部分としては多いのは、
損傷の生じる可能性が高い力学的に弱い部分となります。
つまり、肉離れであれば、筋線維同士よりも
筋線維と腱などの連結部分の損傷が多くなります。
簡単に例をだすとしたら、運動会のお父さんですね。
運動不足でいきなり全力で走ると起こりやすいです。
普段あまり伸び縮みしていない筋繊維が急に引っ張られますから・・・。
肉離れの予防法
では肉離れの予防法はというと、念入りな柔軟体操を行なっておけばOK。
ということではなく、運動時に筋肉を無理なく伸縮できるようにするため、
予め小さな動きから動的ストレッチを行なうのが効果的です。
じんわりと伸ばし続ける静的なストレッチや、反動を使ったストレッチよりも、
5割程度の動きで身体を動かし始め徐々に大きく身体を動かすストレッチです。
また、全身の血流促進と筋肉の温度を上昇させるため、
軽めの有酸素運動を行なうことも効果的です。
イメージ通りかと思いますが、温まった筋肉の方が良く伸縮しますからね。
冷えてて固い筋肉はゴムのようにバチンと行きそうですからね。
肉離れの対処法
肉離れの応急処置としてはRICE処置を施すことが重要です。
順番にいくと・・・。
・肉離れが発生した時点でまず安静にします。
・それから 患部を氷等で冷却します。
(冷やすものがなければ、冷水で流し続けます。)
・幹部に氷等を撒きつけて圧迫します。
・心臓よりも高い位置に挙上します。
肉離れの治り方としては、 まず筋繊維が切れたことで生じた隙間に、
血液などの体液が流れ込み、線維組織と呼ばれる、腱に近い組成ができていきます。
その線維組織が、筋肉と腱を強固に繋いでいくことで
筋肉の収縮に耐えられるようになり機能が回復していきます。
このように回復するまでの期間はその方の状況や肉離れの程度にもよりますが、
おおよそ1ヶ月程度はかかり、その間は安静にする必要があります。
運動はもちろん、患部の筋肉を使うことも極力控えます。
特に、ハムストリングスを肉離れしたけど、上半身は元気だから。
といって、上半身に強い負荷をかけてしまうと、
全身に力が入ってしまい回復を遅くしてしまう場合もありますので注意が必要です。
スポーツ選手は特にこの1ヶ月間が何もできなくて地獄のように感じるかもしれませんが、
イメージトレーニングや勉強に当てたり、自らのスポーツを一度外から客観的に見るなどの
普段とは違ったスキルアップに繋げられるとよいですね。
筋肉への栄養補給
筋挫傷と同様ですが、筋肉の障害を起こした場合には、安静を保つことが大事です。
更に、筋肉に良質な栄養を与えることも、回復のため組織細胞の再生に有効な手段です。
障害を起こしているときにこそ、たんぱく質を多く含む食品を摂取します。
また、ビタミンやミネラルといった栄養素も一緒に摂取することで
筋繊維の回復効果早めることに繋がります。
運動器障害はスポーツの中だけでなく、
日常生活の中でも起こるため予防と対処の方法を頭の片隅にでも
入れて置いて頂けると良いですね。